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谷口吏
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「今日の漆掻きのほとんどが、夏には山で漆掻きをし、冬には町の工場で出稼ぎをしている。僕は拘束されたくなかったので、自分一人でできる冬の仕事を探した。
匙を作ると決めたのは、大きな器と違って、匙は初めから終わりまでひとりで作れるからだ。匙は大きな機械も要らないし、自分の手で削り出して、自分の手で集めてきた漆を塗るだけでできる。
僕が作っている匙のかたちは、長年、使い手のことを考え、線の美しさを考えて、少しずつ変えたり改良したりしているうちにでできたものだ。そのかたちは頭ではなく、僕の手が覚えている。木地の最後の削り出しに使うかんなは、自分の指先くらいの大きさだ。」
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